ヨーガ・スートラ1-4

[1-4] その他の場合にあっては、真我は、心のいろいろなはたらきに同化した姿をとっている。

Lacking that, misconceptions(vritti) skew our perceptions.||4||

<解説>①その他の場合というのは、止滅の状態とは違って、心のいろいろなはたらきが起こっては消えてゆく、通常の心理状態のことをいう。この時、真我(プルシャ)は自己本来の姿を見失って、その時その時の心の動きに同化した姿をとっている。

 

<解説>②真我本来の性質は変わらないけれども、その形がいろいろと変わってゆく。例えば月影が水の波に応じて変化し、水晶が花の色をうつして色を変えるようなものである。ここにわれわれの心理現象というものが成り立つ。

 

<解説>③サーンキヤ・ヨーガの哲学によれば、心の材料となっているものは無意識性のものであるから、心のはたらきはそれだけでは心理現象ではない。この無意識性の心理的素材に意識性を与えて、心理現象にするのは真我のもつ照明性、つまり意識性である。

 

<解説>④しかし、意識性だけでは無内容であるから、意識の内容を提供するのが心(チッタ)のいろいろなはたらきである。このような関係をサーンキヤ哲学は、真我(プルシャ)が覚(ブディ;最高の心理器官)に自分の輝く影を映ずること、として説明する(4-23参照)