[1-45] 微妙な対象というのは、万物の根源である自性に至るまでの形而上学的な緒存在を総括した言葉である。
An object can be subtle to the point of indefinability. ||45||
<解説>この経文は前の1-44の「微妙な対象」という語の説明である。ここでは万物の根源である自性(mula-prakrti=ムーラ・プラクリティ)のことをアリンダ(alinga)という語で表している。アリンガとは「それ以上の質量因の中へ没し去らないもの」(無没)の意味である。自性に至るまでの形而上学的存在とは数論哲学でいうところの、五唯、我慢、覚(大)、自性の緒存在をいうのである。十一根と五大は単に結果(変異)であって、原因の意味を持たないから、ここに数えられない。真我は独立の実在で、自性から展開する質量因(upadana=ウパーダーナ)の系列に属していないから、「微妙な対象」のうちには入らない。(2-19参照)
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