[一切皆苦]
[2-15] 明哲の士にとっては、一切は苦である。何故かといえば、現象の転変と現実の悩みと、それに行、これらのすべてが苦であるからであり、かつ、かの三つのグナのはたらきが互いに相反するからである。
Suffering is caused by change in the outside world, as well as impressions, desires (samsakra), misconceptions (vritti) and conflict. Suffering is omnipresent for those who have the capacity to differentiate. ||15||
<解説>①常人にとっては、この現存在のうちに苦もあれば、楽もあるけれども、真我と自性の二元性をはじめ現象世界の成立のからくりの実体を知りつくした明哲の士(vivekin=ヴィヴェーキン)にとっては、すべてが苦に外ならない。仏教も四聖諦(四つの神聖な真理)の第一に苦聖諦を上げている。存在の一切が苦であることをほねみに徹して知った人だけが求道の士となり得る。
<解説>②三つのグナのはたらきが互いに相反の関係にあることについては本経2-18の註の中で説明する。ついでながら、インドで苦という語の原語は、車輪のこしき(轂)の孔がうまくあけてないという意味から来た言語で、不安という気持を示している。
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