ヨーガ・スートラ2-32

[2-32] 勧戒には、清浄、知足、苦行、読誦、自在神への祈念の五つがある。

Cleanliness (shaucha), contentment (santosha), self-discipline (tapas), learning from yourself (svadhyaya) and accepting your fate (iishvara-pranidhana) automatically translate into the practice of respect (niyama). ||32||

 

<解説>①勧戒(niyama=ニヤマ)は社会的意味を持たない。単に個人的な戒すなわち心得である。すべて戒なるものが対他的な倫理ではなく、対自的な宗教的訓育原理であることは、勧戒の内容を見ればさらに明らかになる。

<解説>②清浄(sauca=シャーウチア)ということは、肉体と心の両方を清潔に保つことである。ヨーガ行者は肉体の清浄を重んずる。毎日三たび水に入って身体を清めるのもこのためである。後のハタ・ヨーガの中には、肉体の各部分を清潔にするための極端な操作、たとえば布きれを飲みこんで消化器を洗たくするなどというのがある。心の浄化ということになれば、ヨーガ行法全体がそのためのものだということもできるが、特に慈、悲等の方法(1-33以下参照)によって心を洗うことをさしている。

 

<解説>③知足(samtosa=サントーシャ)とは、生命をつなぐに足るだけのものがあれば満足して、それ以上をあえて求めないことである。これは宗教上の心得として、あらゆる宗教でとりあげられている。残りの三つについてはすでに解説した(1-23~28、2-1~2)