【2-47】 安定した、快適な坐り方に成功するには、緊張をゆるめ、心を無辺なものへ合一させなければならない。
The key to success in this regard is practice with effort, which becomes progressively easier, combined with deep contemplation (samapatti). ||47||
<解説>坐りが安定して貧乏ゆるぎをせず、少しも不快な感じが起こらないようになるには二つの条件が要る。一つは、努力、緊張をゆるめることである。すべて、催眠的現象を起こすには、他力催眠と自己催眠を問わず、くつろぎが大切である。他の一つは、心を無辺なものへ合一させる(anantya-samapatti)ことである。というのは、虚空(akasa)のような無辺なものへ思いを沈潜させて、心がそれと一つになったような状態になることをいう。無辺なものと合一する時には、肉体に関する我想がなくなるから不快感は起こらなくなる。この無辺(anantya=アーナンティア)は仏教の四無色定の中の空無辺処定、識無辺処定と通ずるところがあろう。ちなみに合一(samapatti)とは定のことである。坐りをマスターすれば定、三昧の極致に達することができる。道元禅師が只管打坐を提唱したのも、このような体験から出たのかと思われる。また無辺というのは、インドの神話で、世界開闢以前に、創造の神ヴィシュヌが眠っている時、そのベッドの役目をしたコブラ蛇の名でもある。
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