【3-54】 前記の分析から生じた知は、ターラカとよべれるものであって、すべてのもの、すべての在り方を対象とし、しかも一度に一切を知ることができる。
Knowledge that is born of discernment transcends all objects, all beings and all time. ||54||
<解説>ターラカ(taraka)というのは、「救渡者」の義、つまり人間をこの生死の大海から救い出して、無事に彼岸へ渡してくれるもの、という意味である(3-33参照)。一説では、ターラカという名称は、この知がヨーギー自身の照明智(プラテイバー、3-33参照)から生起するもので、他人の指導に待つものではない、ということを意味しているという。この解釈はターラカという語が、「救渡者」の意味の外に「瞳孔」の意味があるからであろう。ひとみは、自分にそなわる光で物を見るものと考えられていたからである。(ハタ・ヨーガ・ブプラディーピカー4-41,42参照)
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